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May 19, 2006

『週刊ST』5/26「TOEFL® iBT対策講座」解説

 結論から言うと、TOEFL iBTのリーディング問題では英語ネイティブに近い英文読解力が求められます。少なくともリーディングでは、日本にいるあいだにそのようなレベルの能力をつけていない限り、有意義な留学は望めません。TOEFLに出題される程度の英文は一読して大意をとれるように、基本的な読解力をつけましょう。

 TOEFL iBTではメモを取ることが許されます。最初に一読する際、段落ごとの要約を出来るだけ短くメモしていきましょう。文章になっていなくても結構です。この例題では例えば以下のようになります。

  第一段落;歴史言語学の目標=共通基語の構築
  第二段落;原点となったのはインド・ヨーロッパ語族の研究
  第三段落;発生地はトルコの一部
  第四段落;研究法=現存する諸言語から共通要素を見つけて類推
  第五段落;ヨーロッパ語とインド語の共通点は16世紀から知られ、18世紀にあるイギリス人が「インド・ヨーロッパ語仮説」をたてる
  第六段落;土地不足が移住の原因
  第七段落;ヨーロッパは発生地から終着地へ格下げ
  第八段落;移住の実例

 この作業により、設問4−5、8−13ようなタイプの問題が解きやすくなります。(特に新しく導入される設問13のような要約問題を解くには欠かせません。)

 設問4を見てみましょう。第三段落ではインド・ヨーロッパ語族の発生地が論じられていることをはじめに確認しておけば、設問4は問題なく解けます。設問でわざわざ第三段落、と指定しているのですから。(ただし、意味を取りにくいセンテンスが含まれています。三行目、They で始まる文を意訳しておきます。「言語学者たちはこの共通基語が子言語に別れ、ユーラシア大陸全体にひろがった経路を解明しようと努力してきた。その出発点が、共通基語自体の発生地だと信じたからである。」)

 設問10を見てみます。この設問も段落を指定してくれていますので、大意をとれれば比較的楽に解けるはずです。(この第七段落もやや難解なセンテンスを含んでいます。三行目最後、Thus から始まる文の意訳を付しておきます。「かつては仮説上のアーリア人がアーリア語、あるいはインド-イラン語をヨーロッパからインドへ運んだと思われており、さらには、彼らはノルディックの超人としてナチの神話学に駆り出されさえしたのだが、彼らの正体は、小アジアから発してヒマラヤ山脈の北を回り、現在のアフガニスタンを通ってインドにいたる、というずっと現実的な移住をした実在の民、インド-イラン族だったのである。」)

 他、設問の中で段落が指定されていない場合でも、パッセージで言及された順番で出題されますから、文全体の構成を把握しておくことは極めて重要です。
 
 語彙問題をひとつ取り上げましょう。設問1、”progenitor” を含むセンテンスを訳すと「言語学は関連する諸語を研究して、それらの直接の-------( immediate progenitor )や、最終的には、一番初めの先祖 ( ultimate ancestor )、すなわち共通基語を再構築しようとする。」ですから、ここでは直前の形容詞 “immediate” と “ultimate” が対比して使われ、その後には先祖、という意味の同義語が入ることが推察できます。ですからここでは、前任者、前身もしくは先祖という意味を持つ(A)が正解となります。ただし、”progenitor” という単語を知っていれば3秒で出来る問題です。難しい言葉ですが、英語圏で大学以上の留学を目指す方が覚えなくてもいいほどの専門用語ではないので覚えて下さい。ちなみにTOEFLの問題集で、特に自然科学系のリーディングのパッセージ中に見られる専門的な術語まで記憶する必要はありませんが、本日ご紹介した練習問題にはその類の言葉はありません。このページに知らない単語があったら全て覚えてください。
 
 次に挿入問題12を見ます。現行CBTではもっとも難解といわれていたタイプの問題です。ここで取り組んでいただいた設問12はその中でもかなり難度の高いものとなっています。挿入問題での最大の鍵は、通常挿入されるべき文のなかに隠されている指示形容/代名詞 “this / that / these / those”などや定冠詞 “the” です。これらの言葉が指している名詞を捜し、その直後に挿入すればよいわけです。ただしこの作戦が通用しない場合もあります。今日の設問12もそうで、鍵は挿入文ではなく、地の文の中、第八段落一行目にあります。段落の冒頭で比較する対象もない状態でthe + 比較級という極めて珍しいかたちが使われていることに気づくか、気づかないかが勝負の分かれ目になります。この文の前で比較的小規模な移住が言及されているからこそ, その次に「より大規模な移住」と言えるのです。ただし、繰り返しますが挿入問題はやっかいです。ある程度時間をかけても鍵が見つからず、挿入してしっくり感じられる個所が2箇所以上あるときは、山勘で決めてください。
 
さて、設問13はiBTで初めて導入される、高配点の要約問題です。難度では、挿入問題を上回る最大の難関になるでしょう。かなり高度な読解力を持つ人でも、順不同にならべられる英文から正しい順番で要約文を選んでいくのは至難の業です。消去法、つまり要約として不適切な文を見つけることに徹するのが上策です。設問13の5つの選択肢に上から順にABCDEFという符号をつけ、考えていきましょう。

不適切な選択肢をみつける際、パッセ-ジで述べられていない内容のセンテンスを見つけるのは比較的容易です。ここでは選択肢Cがそれにあたります。(第二段落でインドヨーロッパ語族は非常に優勢な語族で多くの言語を含む、とは述べられていますが、”smaller families” に分割できる、という内容はどこにもありません。)警戒すべきは、問題文で言われているところの “ minor ideas in the passage “ を表現しているので省かなければならないセンテンスです。論旨上重要でない具体的な情報(地名、人名、年代など)や、比喩として言及されている事象は要約に入れるべきではありません。ここでは選択肢Bが前者、Dが後者にあたります。具体的な情報や印象的な比喩は記憶に残りやすいので、本番でも多くの受験者が B や D のような選択肢を選んでしまうだろうと予想されます。なお完成した要約は、始めの “ The science of linguistics strives ---“ で始まるセンテンスの後、F → A → E という順番でつながります。

 正解一覧
  設問1:(A)
  設問2:(C)
  設問3:(D)
  設問4:(A)
  設問5:(D)
  設問6:(B)
  設問7:(B)
  設問8:(A)
  設問9:(C)
  設問10:(C)
  設問11:(B)
  設問12:(B)
  設問13;Answer Choices, 上から順に一番目、五番目、六番目のセンテンスを選択。

投稿者 ilc : May 19, 2006 6:36 AM