« 胃潰瘍を探る!〜診断〜 | メイン | 日記らしい日記 »

September 1, 2006

胃潰瘍を探る!〜治療〜

東京の松江です。

胃潰瘍の治療について。

ご存じのことと思いますが、近年の治療の主流は「薬物治療」です。

1.薬物療法:
 
「プロトンポンプ阻害剤」や「H2受容体拮抗剤」といった「制酸剤」で胃酸を抑えることで、潰瘍を一旦、ほぼ治癒させることはできます。
しかし、近年は内服を中止すると再発するケースが多く、結局は維持療法として薬を長期にわたり服用している場合が多いと思います。
「制酸剤」の他に、胃粘膜の血流をよくする目的で「胃粘膜保護剤」などを併用することもあります。
(内服薬で治療する場合は「制酸剤」と「胃粘膜保護剤」と併用する方が、ダンゼン治りが良いという印象です)
現在、潰瘍再発の主たる原因がピロリ菌感染であることが判明し、胃酸を抑えるだけの治療は対症療法であると考えられています。


2.ヘリコバクターピロリ除菌療法:

ピロリ菌を除菌することで潰瘍再発が劇的に少なくなること判ってからというもの、もはや除菌こそが潰瘍治療の根本的治療と位置づけられています。
除菌の方法としては、“菌”なだけに「抗生剤」を用います。
「アモキシシリン」と「クラリスロマイシン」という2種類の抗生剤。
これに、酸分泌抑制剤として「ランソプラゾール」もしくは「オメプラゾール」をあわせて用います。
1週間内服し、約8週間後に尿素呼気試験で除菌の成否を判定するのが一般的です。
ピロリ菌の中には耐性菌といって抗生剤の効かない菌をみられ、除菌成功率は約80%です。
除菌の副作用として下痢、味覚異常、発疹などがあります。
軽症の場合は内服を継続しますが、まれに日常生活に支障をきたし中止を余儀なくされることもあります。
また、腎障害や薬剤アレルギーのある方、妊産婦などは除菌治療は控えるべきです。
ただし、除菌治療が成功しても、日常生活の不摂生は、当然胃に負担をかけます。
やっぱり、喫煙・塩分の多い刺激物・香辛料・過度の飲酒を控えることが必要です。


3.外科的治療:

「H2受容体拮抗剤」の登場以来、外科的手術は激減しました。
(昔は、胃潰瘍で胃を部分ないしは全部を切除することは多かったのです)
現在では、胃潰瘍で穴があいてしまった「穿孔」例で手術になるケースがほとんどです。
大量出血や内視鏡での止血困難例でも手術になる場合はありますが、近年は、出血の原因血管の血流を止める、「血管塞栓術」を行うことで手術を回避する工夫もなされています。


4.その他:

NSAIDsなどの薬剤が原因の場合、薬剤を中止することが原則です。
仮に、継続しなければならないにしても、必要最小限の使用にとどめるべきです。
その上で、上記の「プロトンポンプ阻害剤」、「H2受容体拮抗剤」による治療を行います。

以上、治療についてまとめてみました。


ホントは、説明に言葉だけでなく図を多用できたら良かったのですが、転用は何かと難しいので、割愛させていただきました。

また、別のテーマで特集してアップしたいと思います。

投稿者 keiseikai : September 1, 2006 11:18 PM