« ◆ILC NEWS 09/3/12◆トライアルガイダンス/今週の体験レッスン | メイン | ◆ILC NEWS 09/3/28◆トライアルガイダンス/翻訳コース申込締切/英会話体験レッスン »

March 12, 2009

◆ILC 09/3/12◆Can Do Statements

Can Do Statements

皆さんはご自身の英語力を的確に把握しておられますか。

よく、初・中・上級、もしくは5段階や10段階でレベルを判定されることが
あります。でも、例えば一言で中級と言っても何をもって中級とするのか。
子どもの中級、学生の中級、外国生活をしている人の中級、事務職の中級、
そしてビジネスマンの中級、それぞれできることとできないことが全然違う
かもしれません。また、同じTOEICスコアの人でも、実際に英語を使って
何ができるのかは同じではない可能性も十分にあります。

私は企業の英語研修をプログラムしたり、英語ができる人材を確保したい
企業の相談を受けたりすることがあるのですが、人事部の方がよく、
上記のような抽象的語学レベル評価に頭を抱えておられます。
一緒に仕事をしている人であれば、その人が何をどの程度できるのかを
把握できますが、これから雇おうとする人や実際に一緒に働いていない人に
関しては、本当のレベルがよくわからないままに、TOEICスコアや
「中級くらい」という言葉を頼りに人材配置を決めざるを得ないようです。

だからこそ、個人にとってはビジネスチャンスを失わないためにもスコアアップや
資格取得が欠かせないのですが、実際に仕事を始めたら、本当に何ができるのか
が問題になります。できるだろう、と勝手に推測されていた能力を実際に
持ち合わせていないと、企業にとっても個人にとっても不幸な結果となりうるのです。
このような現状をどうにかできないものか、と考えていたとき、参加していた
ある言語教育の研究会で、Can-Do-Statementsに出会い、
「これだ!」とひらめきました。

Can-Do-Statementsとは、その名の通り、できることの声明です。

資格試験などは、その試験結果から「できるであろう」ことがスコアや級の
解説として抽象的かつ推測として記載されるのに対し、この
Can-Do-Statementsでは、それぞれの段階に応じた「できる」ことが具体的に
リスト化されていて、「できること」を学習者自身がチェックする自己評価方法を
採用しています。例えば、電話対応という観点から

□電話口で、誰からの誰への電話かを聞き取って取り次ぐことができる。
□積極的に相手の名前や所属名、連絡先などを質問して聞き出すことができる。 
□取次ぐべき人が不在の場合、その状況を的確に知らせることができる。
□相手の要望を簡単に聞き取ってメモすることができる。
□自分で対応できる内容だと判断した場合、応対ができる。

というような実際の言語使用場面に即したチェックリストがレベルごとに、
また場面ごとに細かく挙げられていて、学習者自身ができるか事柄かどうかを
自ら一つ一つチェックします。そして、チェックできた項目は自分で「できる」と
言っていることなのですから、これは推測ではなく本当にできることである
ハズなのです。このようなチェックリストから成るCan-Do-Statementsがあれば、
人事部の方も適材適所に人材を配置できるのではないでしょうか。


Can-Do-Statementsは、もともと
Common European Framework of Reference for Languages (略CEFR)
(言語教育のためのヨーロッパ言語共通参照枠)の一部として開発されました。
CEFRとは、人権・民主主義・法治の擁護のための文化的協力を目指して
設立されたヨーロッパ47カ国の加盟国からなる欧州評議会が打ち出した
言語教授・学習・評価についてまとめ上げた文書です。

個人が複数(英語だけを意味するものではない)の言語運用能力を持ち、
生涯を通じて言語学習に関ることは、教育や雇用を含めた個人的、経済的発展の
チャンスにつながり、ヨーロッパ市民としてのアイデンティティーの構築に繋がります。
そして、言語学習はモビリティを促進し、社会のつながりを深め、相互理解と文化の
多様性の尊重を促すと考えられます。

このような概念をもとに、CEFRが開発され、様々な分析結果をもとに言語学習の
アプローチが考察され、実際の言語活動に即した学習計画と評価基準が定め
られました。今、ヨーロッパ内で人々は複数の外国語を学習し、それぞれの言語に
おける学習履歴と自己評価に基づくCan-Do-Statementsが記されたヨーロッパ
共通基準のヨーロッパ言語ポートフォリオを手に、自己の言語能力を適正に示して
ヨーロッパ内を自由に行き来できるように、ヨーロッパ全体が一体となって
教育システムを整備しています。

また、Can-Do-Statementsは自分でできることを確認していく自己評価という形を
とることにより、「私は●●語でこんなことができるんだ」と自信をもたせるための
道具にもなります。更に、「半年後には◎◎ができるようになるための学習をしよう」と、
その後の学習を動機づけ、自立的学習を促すことができます。

残念ながら、まだ日本全土としての共通レベル基準となるような
Can-Do-Statementsは開発されていません。でも、まずは学校単位、英語スクール
単位、会社単位で、「できること」リストが作成され、半年ごとに自己評価を繰り返し
ながら「できること」を増やす喜びを感じ、自信をつけながら語学学習をすすめられる
ような環境ができればいいな、と思い、微力ながら私も研究を続けたいと思っています。

さぁ、みなさんも一度、自分のCan-Do-Statementsをつくってみませんか。
自分の「できること」を発見するのは楽しく、また、小さな一歩でいいから
「できるようになりたいこと」という具体的な目標を明確にすれば、より一層実践的な
スキルを身につけられるかもしれません。

スチューデントカウンセラー
乾 真理子(Inui Mariko)

投稿者 ilc : March 12, 2009 8:22 PM